ごきげんよう皆さま。今日はサブカルな話題です。本誌『週刊少年ジャンプ』では最終回といいつつ話を完結できず、『ジャンプGIGA』で連載を続けた原作者。連載70巻超えの大作を、天下のジャンプ誌上で完結させず媒体を移してようやく完結させただなんて・・・そんなことを許されたのは後にも先にもあなたしかおりません流石でございます・・・。「掟破り」「前代未聞」の第一人者、空知秀秋先生のお話です。
銀魂とは?
あらすじ
少年志村新八は、亡き父から受け継いだ剣術道場再興も叶わないままアルバイトの日々を送っていた。ある日、天人の客に絡まれているところを死んだ目をした侍、坂田銀時に助けられる。銀時のもとで侍魂を学ぶため、志村新八は万事屋の一員となる。そこに天人の神楽、狛神の定春が加わり、万事屋は様々な事件に遭遇する。
銀魂のすごさ
こうやって書くと陳腐ですが、『銀魂』はとにかくギャグがすごい。何にもまして、いろんな漫画やアニメのパロディが思い切りよく、時事問題のイジリがとんでもなく突き抜けています。主人公の銀さんは型破りの戦闘力、究極の鋼メンタルを誇りましたが、書き手の空知先生はそれを上回る精神力の強さだと思わないと説明がつきません。特にアニメを担当した「サンライズ」と共にふざけ倒し(誉め言葉です)関係各所から怒られ時にはアニメ作品の自主規制が繰り返された『銀魂』。『ドラゴンボール』、『ワンピース』、『機動戦士ガンダム』など名だたる名作漫画をパロディしまくり、政治家の蓮舫さんなどイジリにいじった『銀魂』。品がないとは思いませんでした。今までにも他の作品のパロディを入れるマンガはありましたけど、私は好きじゃなかったなあ・・・品もないしただの悪ふざけに見えて。どの漫画かは言えませんけども!『銀魂』って、パロディは派手にやりましたけど、作品に対するリスペクトがあったんじゃないかなと思います。どのパロディも、作者自身が作品をちゃんと読んでいないとわからないものばかりでしたから。
2年を経て、すっかり容貌がヤムチャ化した銀時が新八に言う。
「約束したじゃねーか、2年後にシャボンティ諸島でって」
「それ別のマンガの約束!」
空知先生は、本当に興味があって、本当に好きなものしかパロディにしなかったんじゃないかなと思います。
空知秀秋の才能
とにかくコミックの欄外で話すことがおもしろい
『銀魂』で見られる、空知先生のギャグセンスやパロディする覚悟もさることながら、それにもまして空知先生が他の追随を許さない才能があります。それは漫画コミックの話数の隙間を埋める「作者によるおまけ」ページで見られます。もうとにかくめちゃくちゃ面白い!この文才は並みじゃないです・・・他の大漫画家の誰も勝てません・・・このページは『銀魂』が文庫本サイズで再発行されても収録されないと思うので、とにかくコミックを何冊か買ってみてください。ブックオフとかででもいいので!私はこのおまけページだけで一冊作ってほしいくらいです・・・。
人柄が良い
並みじゃない空知先生の担当さんはやっぱり並みじゃありません。空知先生をよく知る担当さんたちが、先生の魅力と彼への愛憎をたっぷりお話しています。
外部リンク:『銀魂』空知英秋は「完全に銀さん」 担当編集が“好きになっちゃう”人物像明かす
この記事で私が笑ったところの一つです↓
2代目担当・齊藤優:器が超デカい。『銀魂』って死ぬほど原稿の納品が遅いので、ヤバい時は担当も絵を描くんです。僕も効果音などを文字で表現する「描き文字」を描いたことがあるんですよ。で、空知先生が原稿チェックしている時に「おい、誰だ! この汚ねえ描き文字(を描いたのは)!」と声を荒げたので、「それ僕ですね」と言ったら、「齊藤さんかよ! じゃあ、しょうがねえな」と。
9代目担当・井坂尊:それ、器がデカいんじゃなくて原稿が遅いだけですよ(笑(出典:『銀魂』空知英秋は「完全に銀さん」 担当編集が“好きになっちゃう”人物像明かす より。アンダーラインは筆者)
原稿が遅れすぎて、ついには担当さんまで駆り出す空知先生。本業じゃない人に手伝ってもらっているんだから、そりゃ「しょうがねえな」って言わないとおかしいですよ(笑)9代目担当さんの「それ原稿が遅いだけですよ」の突っ込みが冴えてます。こんな横暴なことを繰り返していたら普通は嫌われそうですが、そうはならないのが空知先生。
4代目&6代目担当・本田佑行:漫画家としてもすごいところはもちろんあるんですけど、やっぱり“人間味”がすごく強くて。締め切り前は(空知先生のことを)、ほんとに世界で1番嫌いになるんですよ。でも、終わった後に打ち合わせに行くと、「すいませんでした! 今週はいけると思ったんですけどねっ」と。「来週はどうですか…?」と聞くと「大丈夫です! 頑張ります! 飲み行きましょっ!」って言われると好きになっちゃうんですよね、もう1回。その懐の深さみたいなものはやっぱりすごい。
5代目担当・松尾修:人たらしがすごいですよね。
本田:そう、完全に銀さんなんですよ。
8代目担当・真鍋廉:次は信じてみようかなっていうのを毎週繰り返しながら、やってました。(出典:『銀魂』空知英秋は「完全に銀さん」 担当編集が“好きになっちゃう”人物像明かす より。アンダーラインは筆者)
嫌われかけても、そのあとすぐにもう一度好きにさせてしまう。空知先生の人柄が表れています。私の周りにもこういう人が1人いるんですよね。一緒に仕事しているときは、スケジュールぐずぐずすぎて本当に嫌いになっているんです。でも仕事が終わったら人柄でオーケーになっちゃう(笑)それにつけても8代目担当さんの「次は信じてみようかな」が健気すぎる・・・。
『銀魂 THE FINAL』
入場者特典に「鬼滅の刃」とのコラボがあると聞いたときは「うそでしょ!」と思いましたが、事実だと聞いた時の気持ちは、「彼らならやるなあ」でした。他の作品がこんなことしようものなら「どうしちゃったの?!大丈夫なの?!」と思われてしまうところですが、『銀魂』ならアリ。空知先生とサンライズが長年培ってきた、ある意味我々読者視聴者への「信頼」「期待」が何もかもを許させてしまう。『銀魂』や空知秀秋先生は、そういう存在だと思います。
(銀魂公式より。©Hideaki Sorachi/GINTAMA the Movie。予告からすでにやらかしてますがそれがいい・・・!)
『銀魂 THE FINAL』、公開されております!
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